kephyce 日々の記録

エレクトロニクスと音楽のお話

カレントバッファはいいですね

無線と実験4月号の金田さんの記事についてです。

電流伝送のチャンネルデバイダが売り?の記事ですが、
それは横に置いておいて(笑)、
私が目を付けたのは、カレントバッファです。

この回路、入力ケーブルをベース接地でうけていますよね。
じつはこんな回路ができれば、入力ケーブルのCに強いI/Vができる、と思っていたところ、この回路でピーンと来ました。

何が言いたいのかというと、ベース接地って、入力信号をエミッタフォロワでドライブするようなものですよね。
入力ラインのインピーダンスは、オペアンプのI/V変換のマイナス入力端子よりずっとしっかりと低いインピーダンスでドライブされていることになります。
長ーい入力ケーブルをドライブできるはずです。
このカレントバッファをI/Vパワーアンプの入力端に配置すれば、I/Vパワーアンプ、入力にぶら下がるケーブルのCの影響から解放されます\(^O^)/

それによって、位相補正も楽、帰還抵抗を変えても高域ピークなんか出ない、変化しない。



ということで、カレントバッファの確認のシミュレーションをしてみました。


↑がシミュレーション回路です。電流検出のためにアンプの前に小さい抵抗、アンプの出力に1Ωを入れています。これのAC解析をすると


↑になります。上下三段、上から、おおもとの信号源から出力までの電流増幅度の周波数特性。
二段目は電流アンプだけの電流増幅度周波数特性。
一番下は、入力端に発生する電圧の周波数による変化(dB表記)。
ケーブル長を1m,10m,50mと変えていますが、全てで可聴周波数帯域内でまったく問題が無い特性です。50Ωの入力ケーブルを問題なくドライブできてしまうことになります!
ただ、ピークがでていますね。ケーブルが長くなるにつれ低い周波数で出ます。これはちょっと気になります。
これはケーブルと入力のインピーダンスのミスマッチング。対策は、送り出し側(電流源)でのマッチングが取れていないのですが、受け側だけでも75Ωを入れてマッチングすると、綺麗さっぱり無くなります↓



ピークが無くなりまして、さらに長いケーブルもやってみました。250m位まではOKでしょうか?

まぁ、あくまでシミュレーションですので。
こういう傾向にあるということで、参考にされてください。


で、これを更に積極的に応用下のが↓の回路です。

どうよ?左側が入力ですよ。アンプの入力に電流を注入して、その差分電流をカレントミラーで取り出します。
これますます性能アップですが、オーディオ用じゃなくて、その他用に考えた回路です。

オーディオ用は金田さんのような回路で十分。

このカレントバッファをI/Vパワーの前段に置くと、その前のプリからRを通してカレントバッファの入力に入り、そこでV/I変換され、その電流がI/Vパワーの帰還抵抗で電圧となって出力されます。ゲインは全く変わりません、あ、カレントバッファにシミュレーション上は若干のゲインがあるようで(カレントミラーの定数故かな?)その分は大きくなりますが、ま、変わりません。
これで全く問題なく動くはずです。
そうすれば、なんたってI/Vパワーの入力にぶら下がるCはごく小さくなりますから、I/Vパワーの帰還抵抗にパラに入っている5pFも取れるでしょう。通常のステップ位相補正でも十分です。(あの位相補正はCが大きめですが、極めてコントロールしやすい位相補正ですね。)


次のステップは、これをI/Vパワーアンプの入力に置く、だけじゃ無くて、なんとか二つを合成したような回路ができれば、一石二鳥ですね。
また、カレントバッファで増幅度を持たせることも考えられるかも知れません。