kephyce 日々の記録

エレクトロニクスと音楽のお話

昨今の状況・・・

私の知人であって、何度もライブ録音した、吉井健太郎さんが、長年首席チェリストを務めたウィーン交響楽団を昨年末に退団された。
実は昨年、私がウィーンに行った時に、連絡は取れたのだが会うこと叶わず、その理由の一つが退団検討中でいろいろあったため。つまり、退団の可能性は知ってはいたので、残念ではあるが、それほど驚かず。今後はソロ活動や若手指導に期待しています。
今年1/1、東京MXテレビでウィーン交響楽団の「ウィーンの春」(数年前のもの)が放映され、番組途中で吉井さんが「30年首席を務めた、ウィーンの日本人演奏家の草分け」と紹介されていた。その時は既に退団されてウィーン響のHPからも消えていた。
ウィーン響の日本人は、今は産休をとられている榎本麻衣子さん(第二ヴァイオリン)だけとなった。
東洋人はほかに若干いるようで。
私が吉井健太郎さんをアマチュア演奏家に紹介して、チェロコンチェルトのコンサートが実現してから今年で10年。この間、吉井さんの関連の取材でオーストリアのテレビに出演したり(笑)、いろいろと思い出がある。

それにしても、ウィーンフィルはちょっと商業主義に走っているような。ウィーンフィルは、ウィーン国立歌劇場管弦楽団のメンバー有志があつまって管弦楽を演奏するオケを作ったのが最初。つまり、本業は「オペラの伴奏」。交響曲を演奏させたら、昔はウィーン交響楽団のほうがうまかった。
今でもウィーン交響楽団は引けを取らない(あるサイトにウィーンフィルより下手だとかかいてあったが、そんな根拠はないでしょう、どこにも)ですけどね。メンバーのレベルは大差ない、いや、管楽器はやはりウィーン響の方がいいメンバーが揃っているようです(ウィーン通からの話)。
びっくりしたのは、最近は、ムジークフェラインで、ダブルヘッダーコンサートをやっていること。午前10時からウィーンフィルブルックナーとかやっちゃうんですよ。もちろん満席に近いでしょう。夜はウィーン響がコンサート。ウィーンフィルも、交響曲の演奏の回数がどんどん増え、海外から(特に日本から)お客さんを呼び、外貨をどんどん稼いでいる。

さらにウィーン通から聞いた話、一昔前、オペラのシーズンによくウィーンフィルの日本公演があって、「主体はオペラの伴奏なんだから、来日しているメンバーは二軍でしょう」ということだったのだが、最近は、日本の方が儲かる、日本に行くとオケのコンサート以外に各メンバー小さいコンサートに参加して、お小遣いを得られる、ということで、なんと本場ウィーンでのオペラの伴奏の方が二軍で、一軍メンバーが日本に来るんだそうな(注:ウィーンフィルに”一軍、二軍”があるわけでは無く、話を判りやすくするためにそう表現しています)。


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ゲルハルト・ボッセさんが、今年2/1、没した。とうとう、生で聞けなかった。
ボッセさんは日本人妻を持ち、晩年はずっと日本で過ごされていた。若い演奏家のためのオケの指導など、お歳にめげずに続けてこられた。
数年前、近所のホールに、若手演奏家のオケでボッセさんが指揮するというので聴きに行ったら、風邪で代役であった。かなり残念。。。その時の曲目は確かメンデルスゾーンの3番。
で、たぶんボッセさんの最後のライブ録音?がなんとLPで、同じ曲で発売となったので買ってしまった。↓昨年6月の録音。これが最新録音。
http://www.koberecs.com/index.html
昨年2月のコンサートのライブCDも出るようですが、今のところ、ボッセさんの最も新しい録音がなんとLPだということで、ちょっと意外です。まだ聞いていないのだな。

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先週は、某音大生のコンサートが某教会であるというので、聴きに行った。主宰が現役ウィーンの音大生、私がウィーンに行った時に夕食をつきあってもらいました。
教会でのコンサート、神父様が、簡単な説教とお祈りがある。これはよくあること。感心したのは「私がちがみんなで被災地を支えなければ。被災地の物を積極的に食べましょう。福島の物もたべましょう。」という呼びかけであった。
放射線の心配はゼロでは無い。それを食べてしまうかも知れないわけだが、キリスト教には仏教には無い点として「自己犠牲」というのがある。仲間の災難も自分のことのように考え、ともに苦しんでいこう、という考え方がある。日本人に大きく欠けているところ。時として見習うべき。
今まで、東京は福島から電力を送ってもらっていた。事故が起こってからは他人事、というのは虫が良すぎる話。あのどうしようも無い東電を放置してきたのは我々一人一人みんなの責任。さすれば、被災地の食べ物や瓦礫を受け入れてもよいではないか。
東京は瓦礫を早いうちから受け入れている。反対する人もいたとは思うが、これはとてもよいこと。放射線量の計測も、都は国とは違って早いうちから独自に行っている。だからこそ、信頼できる。
地方自治体と国とは一体では無いのに、瓦礫反対の住人の意見を聞いていると、もう、訳がわからないからいっしょくたに考えているみたいだ。
落ち着いてかんがえてみんなで何とかしよう。とりあえず今の基準でOKならば、食べ物も瓦礫も受け入れていくしか無いと思う。