kephyce 日々の記録

エレクトロニクスと音楽のお話

何で電流電圧変換にトランスインピーダンス・アンプを使うか?<修正>

電流電圧変換、I/Vコンバート、本来は抵抗1本で出来るんです。

こんな感じ、Rivで、電流I×Rivで電圧Vが出てきます。



ところが、たいていの場合、図のように電流伝送ラインにC=ΣCnが一杯ぶら下がっていますから、Riv×Cの時定数を持って、ローパスフィルタになるわけです。
ですから、Rivは小さめの値にしておいて、その後アンプで増幅(1+Rf/Rs)する手が容易に考えられます。
すると、今度はアンプのノイズがノイズゲイン分増幅されて出てくるので、S/Nが問題になります。
帯域を延ばしたくて、Rivを小さくすれば、帯域が伸びますが、後段のゲインを上げなければならず、その分ノイズが増えます。
入力Iin〜出力OUTまでの総合トランスインピーダンス・ゲインはRti×(1+Rf/Rs)です。
つまり、目的のゲインを達成するのにRtiを小さくすれば帯域は伸びるけど、ゲイン(1+Rf/Rs)は増やさねばならない。


帯域を延ばしたければ、ノイズゲインを増やさねばならぬ。

そこで、トランスインピーダンス・アンプ(TIA)が出番です。


ノイズゲインが1ですので、帰還抵抗=トランスインピーダンス・ゲイン=Rti×(1+Rf/Rs)を大きくしても、アンプ自体が出力に現れる分は増えません。(信号源から乗っているノイズは増えます)。

たしかに、入力にCがぶら下がって、TIAの高域にピークが発生しますが、それはある程度コントロール可能ですし、Cに対して、帯域を落とさねばならない量は、単なるRC時定数よりも少ないです。

詳細な計算は記載しません。また、Rivの熱雑音のノイズ分の話も割愛しますが(^^ゞ、結論として、帯域を延ばして増幅度を稼ぐには、TIAがとっても有利なので、皆使っているのです。

また、TIAの広帯域でのノイズや安定性(位相余裕)、I/V変換回路としての帯域幅をどう計算したら良いか、などは昔私が書いたこちらをご覧ください、といってもあまりまとまっていないんですが。
テキサスインスツルメンツやアナログデバイセズからもう少しまとまって結果のみ記載されているアプリケーションノートが発表されていると思います。