kephyce 日々の記録

エレクトロニクスと音楽のお話

金田さんの電流伝送DCマイクの改良(修正ずみ)

金田さんの特許、特開2011-120203について、これはまだ特許として成立していないませんが、

シミュレーションしてみました。どのくらいケーブルを伸ばせるか。
案外行きます。シミュレーション上は、ということでは数10m〜100mくらい。
ただし、実際は外乱がいろいろ入ってくるので、特許中、電流源と表記している
カレントミラー部分だけでなくて、定電流で入力端子をひっぱってやると、
より、ケーブルに乗るノイズを抑制できる(抑制のダイナミックレンジが大きくなる)と思います。

で、頑張って100mくらい、しかも入力インピーダンスはカレントミラーの抵抗に依存する、
という点がちょっと気になるところ。

で、いろいろ考えて、
ベース接地で受ける
という方法を考えてみました。なんてことは無い、金田さんの別記事で発表したカレントバッファ
そのものです↓



ただし、ベース接地(Q1)のベース電位をバイアス電位とします。数V〜でしょうか。
するとJ1のドレインの電圧が固定されます。これはカスケードアンプそのものです。
カスケードアンプはなんで広帯域になるかというと、J1のドレインにぶら下がる容量の
影響を、ドレイン電圧を一定にすることによって小さくする、というのが理由です。
J1のドレインにぶら下がる容量にケーブルの容量が加わるのですが、この回路で
十分に長いケーブルをドライブできるようです。
さらにこの回路にちょっと+αの工夫をこらすと、なんとシミュレーションではケーブル長約1kmまで
全然OK
、帯域2-3MHz出ます。インピーダンスマッチングも直列にRを入れて増減が容易です。
まぁ、シミュレーションですから、実際の回路の条件の落とし込みで大きく変わるのですが、
「相当長い距離までいけそう」ということは判明しました。

その+αは、ここでは伏せておきますね。

しかも、このベース接地、金田さんの特許で言うような電流源ではなくてむしろ電圧源です。
カレントミラーは使っていますが、これを他の回路を使って電流を取り出すことも容易に
考えられるので、仮に金田さんの特許が成立したとして、特許の回避はこの回路でできそうだし、
多少文句を言われても更にカレントミラーを使わない回路など考えられるので、特許回避は
可能と思っています。つまり金田さんの特許を侵害していることにはならないと思います。

それとこの図、Q4の定電流源は無くても動きますが、先に述べたように、定電流で入力端子を
引っ張っておいた方がケーブルに乗る”大きな”外乱を吸収できるようになります。

で、今後、この上記の回路に更に+αの改良を加えたものを実用化していこうと思っています。
そこから先はナイショ。

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ところで、無指向性のマイクと、単一指向XY式の旧来のDCマイクと、比較すればすぐ判りますが、
無指向性の方が空間の音の広がり表現がよい。それは無指向性であるというだけでなく、
旧来のDCマイクがXY式であるからです。これで大編成オケを録音しても空間感は記録できません。
ですからもう何年も前から私はセパレートタイプを作って30cmくらい単一指向DCマイクを
配置していまして、これで空間感を表現できるようになりました。
今回の無指向DCマイクの音と旧来の方式とを比較するのであれば、旧来の方式ではなくて、マイクをセパレートにしないと
だめです。





13.1.12 11:00追記
その+αのことをやると、恐らく次の段のアンプのAOCも不要です。
その+α分も含めると、別途特許申請ができるかもしれません。金田さんのには含まれない考え方なので。
今回のこの回路だけで特許申請しても、金田さんの特許から「容易に類推できる」といって却下されるでしょう。

それに長距離伝送にはほかにも心配事がいくつかあるので、その+αの回路でそれを解決します。。。



追記13:40
金田さんの特許内に
「 以上、本発明のマイクロホンアンプ及びマイクロホンシステムについて、実施の形態に
基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣
旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる
実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれ
る。」
と書いてあるのですが、、、、それは特許として主張できないのが通例です。
何のための「請求項」か、ということです。請求項に挙げている内容から逸脱しているものは請求できません・・・
請求項に「カレントミラー」や「第一電流、第二電流」とはっきり書かれてしまっているので、カレントミラー(や二つの電流)を使わないで(上記図ともちがう)回路で実現したら、もう請求項からは外れてしまう。
かだらこそ特許の請求項の書き方には注意しなければならず、もっとブラックボックス化して、請求項に「カレントミラー」などという具体的なことは書いちゃダメ、なんですね。機能だけを書いて、具体例でカレントミラーの回路を書いておけばよろしい。上記のようなご希望が金田さんにあるのであれば、記載内容に工夫が必要でした・・・

ご参考はこれ「請求項の書き方」