kephyce 日々の記録

エレクトロニクスと音楽のお話

MJ2月号・金田さんの記事について

こんにちは、けふぃすぱみゅぱみゅです(笑)。
全く最近の芸能人のネーミングは意味不明です。
○○院大学の学生さんだそうです。普通は地味な学生生活を送られているようです。
なんでも、「芸能人ツィッタの女王」だそうです。
わたくし、「ぱみゅぱみゅ」を普通の会話速度で発音できません。

さて、本題。
MJ2月号金田さんのNo.218について

プリ-パワー間を電流伝送としていますが、こうすると一つ大きな問題、パワーアンプの周波数特性にケーブルの容量による高域ピークが発生して発振するということが容易に起こります。
I/Vの入力に同軸ケーブルなど使えない、と一般にはされています。仮に使ったとして、ケーブル長が固定されていないと、I/V変換アンプ(トランスインピーダンスアンプ)の位相補正量が決定しません。逆にケーブル長を固定すれば、なんとか、位相補正で安定領域に追い込むことができます。ま、そういう使い方ならば有りかな、と。

パワーアンプじゃないのですが、オペアンプで、閉帰還のマイナス入力端子に同軸ケーブルをくっつけるとどうなるかをシミュレーションしてみました。オペアンプはスタンダードなLF356です。パワーアンプでも、傾向は同じだと思います。


この図でまずシミュレーションしました。1.5kΩでV/Iして、その後2497同軸が0.5m~9.5mまで1m毎にパラメトリック解析。トランスインピーダンス(Rf)は10kΩ固定。
その結果が↓


どうですか、ケーブル長が1.5mくらいなら大丈夫ですが長くなるにつれて高域にピークを生じ、発振するでしょう。

また、上の回路図でケーブル長を5mに固定してRfを可変してみました。

(トランスインピーダンス)ゲインが小さいときにはピークが大きく、ゲインを大きくするとピークがさがり、ピーク周波数も落ちてきます。これでは音質がゲインによって変わってしまうのでは無いでしょうか?


解決策として位相補正することなのですが、ここではRfにパラに200pFを挿入してみました。
測定回路図↓


ケーブル長を可変したところ、安定です。↓




Rfを可変しましたが、こうするとfcが大きく変わってしまいます↓。
金田さんの回路ではアンプ内部の位相補正を変更しているので、以下のグラフのみ、こういう傾向にはならないかもしれませんので注意。

ま、それはきっとkontonさんあたりがシミュレーションしてくれるでしょう。ちょっとこれに掛けている時間も無い。


金田さんの記事を読むと、位相補正量をだいたいこのくらい増やせば大丈夫、みたいに書いてありましたが、適切な位相補正量はケーブル長(=マイナス端子にぶら下がる容量)との関係があることに触れられていません
問題点
�@いったん、2m位のケーブル長で位相補正を調整して安定に持って行って、その後もっとケーブル長を長くしたら発振することがあると言うことです。
�A逆に必要考えられる最長のケーブルで位相補正量を安定領域に持って行ったときに十分に帯域が確保できるか、と言う問題があります。つまり既存のアンプで改造したときにはちゃんと周波数特性を見ないと(なんでもそうですが)。
�Bボリュームを可変したときに、高域のピークが変わり、音質も変わる。(ボリューム可変範囲を変えて位相補正値を決めないと、発振することもある。)

さて、ここらへん、どうクリアしたらいいのでしょうか。
「このアンプで何m以下でこの位相補正量ならボリュームをどこにしても安定」という定数は見つかるかも知れませんが、相当慎重な定数選びが必要かと思います。



追記:2012.1.14 13:52
モガミ2497は
http://www.mogami.com/sales/neglex/2803.html
のページからシミュレーションモデル定数を算出。
L/mの値は無いので、Z=√(C/L)=75Ωから算出。

それと、金田さんが今月号に記載していない点として、入力にケーブルとV/Iアンプ(1.5kの抵抗が付いたアンプ)をつないだ状態で位相補正を調整しないと適切な値が見つかりません。ケーブル長だけで無く、その先に付いている抵抗によっても値が変わるはずです。なんでかっていうと、ループゲインが変化する(ってケーブルをつないでも結局ループゲインが変化するので特性が大きく変わるのですが)から、マイナス入力〜GNDの抵抗値も安定度に関係します。
簡略的には、V/Iプリアンプをつけなくても、入力ケーブルの先を1.5kΩの抵抗で終端して位相補正を調整すればいいと思います


追記その�A: 2012.1.14 14:15
もうちょっと深く考えて、ふと気がついたのは、記事中(p118)、パワーアンプを反転アンプにして、かつ入力オープンの状態(つまり帰還抵抗のみ100%帰還状態)で安定度を見ている点。この状態はかなり発振しやすい状態です。ここで発振しないように位相補正量を追い込んでおけば、ケーブルをつけたときにはケーブルをかなり長くしないと発振しないかも知れない。
ま、完全に憶測というか、もしそうであったら偶然というか。案外金田さんの指定方法である程度発振しないでうまくいくかも知れないです。
ただ、きちんと位相余裕を確かめたわけでは無いので、うまくいったとしても偶然っぽいですね。エビデンスは無い。

追記その�B 2012.1.14 14:30
ま、来月号の周波数特性を楽しみに待っていましょう。
ケーブル長をいろいろ変えても特性が大丈夫だよ、発振しないよ、というのが出ていれば問題ないので。
ただしそれでも今までのアンプを改造しても大丈夫だという保証が無いのですが。。。。



追記その�C:2012.1.14 16:30
最もリーズナブルなこの問題の解決策は、ズバリ⇒プリ〜パワー間に同軸ケーブルを使わない!
これがきっと金田さんの解決方法ではないかと思います(笑)
うーん、そうだとしても、いいのかな?それで。


追記その�D:2012.1.14 16:45
で、入力ケーブルを同軸のままで電流伝送にしたい!と言うのであれば、受け側のI/Vアンプのバンド-ゲイン積を上げる、という解決方法があります。まぁ、これでも限度がありますが、かなり有効になります。
まぁ、そんなことまでやらないのだろうな。やっぱケーブルを同軸にしない、これだな。



※人の回路を題材にいろいろ考えることって重要で、より深く回路の理解度が高まるので、こういうことを書いているわけですね※