kephyce 日々の記録

エレクトロニクスと音楽のお話

ノイズゲインがコントロールされたトランスインピーダンスアンプ

またトランス・インピーダンス・アンプネタです。
すみません、こんなんばっかで。

15年くらい前にEDNに載ったのが最初らしいですが、オペアンプのボルテージフォロワを十分に位相余裕を確保して安定に使う方法として、ノイズ・ゲイン・コントロール法というのがあります。
昨今は色んな本やネットに書かれているので、ご存じのかたも多いと思います。
シミュレーションすると、以下のようになります。


図1 上から、ノイズゲインコントロールドボルテージフォロワ、
通常のボルテージフォロワ
ゲイン2倍の非反転アンプ
図1の一番上のようなのが、ノイズゲインコントロールのボルテージフォロワです。全体としてはボルテージフォロワとして働きます。しかし、アンプとしては(ノイズ)ゲイン2倍で動いているのですね。

その波形が↓。縦軸、一番上が10dBで、太い線が10dB間隔です。

図2 図1のシミュレーション結果

OUTがノイズゲインコントロールドです。ピークがありません。OUT2は100%帰還で高域にピークが出ています。
OUT3は2倍のアンプです。OUTとOUT3が高域の肩特性がほぼ同じ、ゲインが違うだけですね。
つまり、ゲイン2倍のごとく高域にピークが無い状態をボルテージ・フォロワで実現したものです。
ただし、、、、OUTはOUT2に対して、このオペアンプ内部で発生するノイズが出力に出てくる量が二倍になります。
また、入力インピーダンスが若干さがる、というデメリットもありますね。R2の両端にはオペアンプのオープン・ループ・ゲインをA0とすれば、Vout/A0の電圧が発生するので、そこから簡略化計算でVin=Voutとすると、入力インピーダンスはR2×A0くらいなるはず、かな?(違っているかも)でもまぁ、それくらいと思います。


これと同じ事を、トランス・インピーダンス・アンプでも、、、できます。
だいたい、トランス・インピーダンス・アンプの安定度(ノイズゲイン)はボルテージ・フォロワと同じです。

下の回路の様になります。


図3 トランス・インピーダンス・アンプにノイズゲインコントロールをした回路
Rgを100Ω、1kΩ、10kΩと変化させ、ノイズゲインを変えてみます。

その結果が↓。
縦軸は一番上が60dBで太線10dB間隔です。

図4 図3のシミュレーション結果
入力にぶら下がる容量C1で強引に高域にピークをだしていますが、ノイズゲインコントロールをする、つまりRgが小さくなると、高域ピークが減るのが判ります。
アンプの実質のクローズド・ループ・ゲインが増える(帰還量βが減る)ため、こうなります。
トランス・インピーダンス・ゲインは帰還抵抗R1(1kΩ)のままです。

これは、ノイズは増えるので、S/Nが気になるI/V、プリの初段とかには使えません。
しかし、ノイズが気にならないところ、たとえば金田さんのI/Vパワーアンプ、この方法を使えばコンデンサによる位相補正ばかりに頼らずに、比較的容易に位相余裕を持たせ、発振がおきないように調整できると考えられます。

いかがでしょう??